しかし、2017年6月19日付の日本経済新聞によれば、レノの推す取締役が1人と少なく、経営体制が直ちに急変しにくいことから、ほかの株主も受け入れやすかったと見られる、という。 

 また、今年1月には、日本ペイントホールディングスに対して、シンガポールの株主であるニプシー・インターナショナルから、社外取締役5人を含む6人の取締役選任議案が提出された。結果的に、この提案は委任状争奪戦に至らず、会社側が提案を受け入れる形で可決された。

 一部報道によれば、提案内容が海外勢からの賛同を集めた一方で、会社側が提案を真っ向から否定するだけの論理を構築し難く、最終的には提案をのまざるをえなかったという。

可決の提案に共通する
3つのコンセプト

 黒田電気や日本ペイントに対して出された株主提案が可決された背景には、3つの共通するコンセプトがある。(1)世間や社会からの納得性が高い、(2)会社側としても反論がし難い、そして何よりも(3)ファンドの究極の目標である利益確保に主眼を置いていない提案だということだ。

 確かに、スチュワードシップ・コードのもと、日本の機関投資家は議決権行使内容を公表しなければならなくなり、深慮なく経営側に投票することはできなくなった。しかし、これは同時に、いつかは株を売却し利益を確保することが究極の目的であるファンド勢の提案にも、簡単には乗れないことも意味する。

 そのため、一方的な利益追求型の提案ではなく、多くの株主が納得し、反論し難い正義や大義が提案に存在しなければ可決されないといえそうだ。

ただ、株価売買による利益追求が究極の目的であるファンドの提案が、すべて悪かといえば、そうでもないケースもある。

 例えば、著名な米国のアクティビスト、サード・ポイントは、テレビ事業の切り離しが議論されるほど本業が低迷していたソニーに2013年、エンターテインメント事業の一部を分離して上場させるよう提案した。