これは多くの企業にとって違和感があることかもしれません。しかし、スターバックスコーヒーのリーダーにとって必要なことは、スターバックスコーヒーが持つ価値観を体現し、人材育成ができるかどうかということです。

 短期的に売上が良い店舗もあれば、悪い店舗もあります。ですが、それ自体が店長の価値のすべてではなく、むしろパフォーマンスに目が向きすぎることによって、単年度の成果や、過去の実績が優先されてしまい、今後大きく成長する可能性がある人材を見落としてしまうことのほうが危険なのです。

 先入観や他社の取り組みに左右されず、企業の付加価値と戦略に沿って必要な人事戦略を実行する。これこそが、事業を変える人事です。

人事の役割を再定義したスターバックスコーヒー

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南和気さんの新刊『人事こそ最強の経営戦略』

 スターバックスコーヒーは各種の調査において、常に人気アルバイト先企業1位の座を獲得し続けています。今後も、この人口減少の時代において、人材に恵まれる企業であり続けるでしょう。しかし、それは決して単なる企業イメージだけでもたらされているわけではありません。

 店舗ではアルバイトであっても、パートナーとして社員と同じように育成され、4ヵ月に一度店長が面談し、目標や成長について会話がなされます。

 店舗で働く人がいきいきと、長い期間働いている様子を顧客として見ているからこそ、働く場所としてのブランドも確立されていくのです。

 人事の役割は「いかに社員を管理するか」と考えるだけではなく、「社員と会社の信頼関係をつくる」ことが必要です。そのためには、社員と人事部が強い信頼関係で結びついていなければなりません。

 スターバックスコーヒーが実現する人事は、まさに事業のあり方を体現する重要な役割であり、人の力によってビジネスは大きく変わるのだと教えてくれています。