日本にカジノができるとギャンブル依存症の生活保護受給者にはどんな影響が?
日本にカジノができると、ギャンブル依存症の生活保護受給者にはどんな影響が出るのか。彼らには、これまでも偏見やケア不足などの課題が指摘されてきた(写真はイメージです)

貧困とギャンブルに
カジノ法案はどう影響するか

 2018年6月19日、カジノ法案(統合型リゾート(IR)実施法案)が、自民・公明・維新の賛成多数により衆議院を通過した。翌日の6月20日には、同日までの国会会期を7月20日まで延長することが、同じく与党などの賛成多数で可決された。今国会でカジノ法案が成立する可能性は、極めて高くなっている。

 しかしながら、カジノ法案によって思わぬ巻き添えを食った人々がいる。生活保護で暮らす人々と、生活保護制度の運用に関わるケースワーカーたちだ。もはや忘れられていそうだが、2016年12月、維新は国会に「生活保護ならギャンブル禁止」という内容の法案を提出した。法案は成立しなかったが、翌年2017年1月、維新の丸山穂高議員が国会で行った質疑をきっかけとして、厚労省は全国の全福祉事務所を対象に、生活保護とギャンブルに関する調査を行った。

 調査で判明したのは、「2016年度の1年間にギャンブル等を原因として行われた助言・指導・支持は約3000件」という事実だった。1件に生活保護で暮らしている人1名が対応しているとすれば、全受給者の0.15%に過ぎない。カジノ法案が浮上するたびに、生活保護とパチンコの関係が取りざたされてきたけれども、調査結果を見る限り、「生活保護がパチンコなどギャンブルの問題につながる」と考えることには無理がある。

 むろん、ギャンブルの問題を抱えている本人や周辺にとっては、生活保護の利用状況と無関係に深刻な問題だ。少数だからといって無視できるわけではない。しかし日本では、ギャンブル依存症の治療や回復に必要な施設・団体・グループなどが全く不足している。数百万人と想定されるギャンブル依存性者に対し、治療施設のキャパシティは数千人分しかない。

 今回はまず、競馬・競輪をこよなく愛好し、かつて東京の非合法賭博の現場で働いていた経験を持つケチャさん(仮名)の話を紹介したい。ギャンブルの現場を知るギャンブル愛好家だからこそ、見えるものがあるだろう。現在50代のケチャさんは、バリ島が大好きな日本人男性で、貧困問題にも深い関心を寄せている。

 ケチャさんは開口一番、「日本のカジノは、まず経営が成り立たないでしょう」と語る。なぜだろうか。