5年後の業界地図2025-2030 序列・年収・就職・株価…#17Photo:Bloomberg/gettyimages

爆発的な破壊力を秘める「割安小型成長株」を発掘するためにはどうすればいいのか。特集『5年後の業界地図2025-2030 序列・年収・就職・株価…』の#17では、過去大きな反響を呼んだ「清原達郎式スクリーニング術」の最新版をお届けする。単純なスクリーニングではわなにはまりやすい割安株投資だが、「伝説のサラリーマン投資家」として資産800億円を築いた清原達郎氏が実践してきた割安小型成長株投資の極意とは?最新決算を反映した、清原式投資への入り口となる281銘柄も一挙公開する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

清原式「ネットキャッシュ比率」で
割安小型成長株を発掘しよう

 著書『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(講談社)が投資本としては異例のベストセラーとなっている清原達郎氏。個人投資家やビジネスマンからの注目度も高く、過去に特集した「清原達郎式のスクリーニング術」は大きな反響を呼んだ。

 そこで今回は最新決算を踏まえた「【2025年7月最新版】清原達郎式『割安小型成長株投資』の候補銘柄」を紹介する。まずは簡単に清原氏について紹介しておこう。

 清原氏は1998年にタワー投資顧問の基幹ファンドの運用開始後、四半世紀で93倍という驚異的なパフォーマンスをたたき出してきた。また、2005年には100億円を稼ぎ、最後の高額納税者名簿(長者番付)で全国トップに名を連ねた。個人資産総額800億円を超える「伝説の投資家」である。

 その原動力となり、運用の中心に据えてきたのが割安小型株への投資だ。「小型株の多くは基本割安に放置されていて、その中で成長株を見つけて投資できれば、爆発的な破壊力になる」(清原氏)からである。

 清原氏が株価の割安度を判断する際に、PER(株価収益率)に加えて重視している指標が、独自の観点から定義した「ネットキャッシュ比率」である。まずはネットキャッシュとは何かから説明していこう。

 ネットキャッシュとは、企業が保有する現金や預金、有価証券から有利子負債を引いた金額のことである。清原氏は独自の観点から、ネットキャッシュとネットキャッシュ比率を以下のように定義している。

◆ネットキャッシュ=流動資産+投資有価証券×70%-負債
◆ネットキャッシュ比率=ネットキャッシュ÷時価総額=(流動資産+投資有価証券×70%-負債)÷時価総額

 ネットキャッシュ比率が1とは、「会社がただで買えるほど割安」ということだ。お金を借りて時価でその会社の株を全部買うと、借りたお金は会社にある現金や換金可能な流動資産を売って返済できるからだ。なお、投資有価証券を70%で評価しているのは税金などを考慮しているためだ。

 清原氏はファンド運用時、「このスクリーニングを数カ月に1回やって割安銘柄の候補を探していた」という。だが、残念ながら個人投資家の場合、清原式のネットキャッシュ比率を算出するのは難しい。

 そこで次ページでは、最新決算を反映してダイヤモンド編集部が算出した「【2025年7月最新版】清原式ネットキャッシュ比率1以上」を満たす281銘柄を一挙に公開する。

 日本を代表する大型株や生成AIで脚光を浴びる半導体関連銘柄などと比較すると、リストに登場する銘柄は地味な小型株が多い。だが、それだけに「成長株が割安小型株の中に紛れ込んでいる」(清原氏)ことがある。

「清原式」は長期投資が基本。一度銘柄を購入したら頻繁に売買する必要もない。株価が高値圏にある今だからこそ、投資初心者もチェックしてほしい。