(ヤバい!課長にバレてしまった……)
「何だ、その格好は?ねじりハチマキに前掛け姿で。もしかしてこの店でバイトしているのか?」

 Aはバツの悪そうな顔をして、押し黙った。

課長の説教が始まるが
「パワハラでは」と反発するA

 翌日の朝、Aは出社するやいなやB課長に呼ばれ、深々と頭を下げた。

「課長、事前に会社に届けを出さずに、バイトをしてしまい、申し訳ありませんでした」

 しかし、B課長は憮然とした表情でAに詰め寄る。

「さあ、バイトしていたワケを説明してもらおうか」

 Aは残業代の減少分を補うためにバイトしていることを話した。B課長の質問は続く。

「何でそんなにお金が必要なんだ?借金でもあるのか?」
「違います。趣味に使っているんです」
「そんなにお金がかかる趣味って何だ?」
「学生時代からC子さんの大ファンで、毎週ライブやツアーに出かけているんです」

 Aの返答にあきれたB課長は、軽蔑した口調でののしった。

「要するにC子の追っかけをやっているんだな。いい歳をして……」

 課長はさらに続けた。

「君の同期はこの間結婚したぞ。所帯を持った同期を見習え!」

 B課長の説教に、Aは頭の中で怒りが渦巻いてきた。

(いくら課長でもC子ちゃんをバカにするのは許せない!このクソ野郎!)

 そして、B課長に対し毅然と言った。

「アイドルの追っかけをして何が悪いんですか!仕事は真面目にやってます」

 B課長はAの開き直った態度に驚いたものの、さらに大きな声で言い放った。

「会社ではバイトは禁止だ。従って君は、即クビだ!クビ!クビ!」

 Aは反論した。

「それなら私を同期との個人的な比較や趣味のことで侮辱する課長の言動はパワハラです。労働基準監督署に訴えます!」