結果として日本とセネガルは勝ち点、得失点差、総得点、直接対決の結果のすべてで並び、今大会から導入されたフェアプレー・ポイントの差で日本が2位を死守した。もしセネガルが追いついていたらすべてが暗転していたし、可能性を放棄した戦いぶりに対して向けられていた批判は、想像できないほどのバッシングの嵐に代わっていたはずだ。

 それでも西野監督は覚悟を決めて、結果に対する責任を一身に背負い、試合後に「本意ではない」と偽らざる本音を漏らした戦い方を貫いた。2大会ぶり3度目のグループリーグ突破から一夜明けると、もどかしさを抱かせながら戦わせたことを選手たちに詫びた。

 こうしたやり取りが、雨降って地固まるとなったのか。頭を下げる指揮官の姿が「納得させる力」へと変わり、日本に新たな力を宿らせたと言っていい。試合終了間際に食らった失点で逆転負けを喫したものの、強豪ベルギーをぎりぎりまで追い詰め、世界中から称賛された決勝トーナメント1回戦の戦いぶりは、スタッフを含めたチーム全体に力強く脈打った一体感を抜きには語れない。

 だからこそ、日本サッカー協会との契約が満了する今月末で退任する西野監督の後任として、前ドイツ代表監督のユルゲン・クリンスマン氏の名前が大々的に報じられた時には違和感を禁じ得なかった。ロシアの地で繰り広げられた戦いを介して得た成功体験が、まったく反映されていないからだ。

 クリンスマン氏は現役時代に、ドイツ代表のエースストライカーとしてワールドカップ3大会で計11ゴールをあげた。確かにネームバリューはあるが、日本の文化や風習を理解するのに時間を要するはずだし、そもそも監督としての力量にも疑問符がつく。ドイツをワールドカップで3位に導いた2006年の自国開催大会は、戦術担当を務めた現監督のレーヴコーチの手腕に負う部分が大きかった。

 何よりも緊急事態の末にオールジャパンとした西野ジャパンが演じた戦いの是非を、検証した跡がないように感じさせた唐突ぶりに疑問を抱かずにはいられなかった。ワールドカップで破られないジンクスに則り、日本代表も自国の監督のもとで勝負をかける段階に到達したのか否かを、まずは技術委員会内で徹底的に議論しなければならない。

 それなのに、いつしかクリンスマン氏との交渉が破談になったと報じられ、今現在は2年後の東京五輪に臨む男子代表チームを率いる森保一監督の兼任プランがスポーツ紙上をにぎわせている。西野ジャパンへ急きょ入閣し、コーチを務めた意味でも確かに継続性は保たれる。