スポンサーとなった中国企業7社はクラス別に分けると以下のような3つになる。

●国際サッカー連盟(FIFA)パートナー:不動産会社の「万達(WANDA)」
●ワールドカップスポンサー:家電の「海信(ハイセンス)」、乳製品の「蒙牛(mengniu)」、携帯電話の「Vivo(ヴィーヴォ)」
●リージョナルサポーター:洋服の「帝牌(DIKING)」、システム開発の「LUCI」、電動バイクの「雅迪(Yadea Group)」

 しかし正直に言うと、帝牌はどこかで見たような覚えがあるものの、LUCIと雅迪に至ってはまったく知らない会社だった。そうした知らない企業がW杯のスポンサーになったという事実を知ったとき、さすがにある種の戸惑いを覚えた。

世界の半数が観戦
世界進出狙う企業には魅力的

 なぜ中国企業が、これほどW杯に熱中しているのか。実は、サッカーは、中国で特に人気の高いスポーツだ。そのため企業は、サッカー関連のスポンサーに積極的なのだ。

 関鍵之道体育コンサルティング会社のCEOである張慶氏は、中国メディアの取材に対してさらに以下のような二つの理由を述べている。

「一つには、W杯のようなプラットフォームで国際化のレベルアップを図るという理由。そしてもう一つは、国内でのブランド影響力の強化と差別化を図るというもの。そうしたことをできる段階まで、中国企業が発展してきたと言える」

 張氏は前者の例は海信で、後者は蒙牛だと解説する。

「もう一つには、FIFAのスポンサー市場にちょっとした変化があった。ブランドによっては業務の調整が必要となり、例えばソニーは今回、W杯のスポンサーを辞めた。その結果、万達がスポンサーになる機会を得た」

 FIFAの発表によれば、2014年のブラジル大会では、世界約32億人が試合を観たという。それに対し、今大会の視聴者は34億人に達するのではと推測されている。現在、世界の人口は約75億人だから、約半数の人がW杯を楽しんだことになる。これは、世界市場への進出を目指す中国企業にとって非常に魅力的だ。

 一方、日本からの嘆きも聞こえた。

「中国企業が積極的なのに対し、日本企業の名前は一つもない。なぜここまで差がついてしまったのか…」

 W杯は終わった。しかし、中国企業が競技場の内外に投げかけた波紋は、これからもいろいろな分野に広がっていくだろう。

(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)