女性の昇進意欲は、女性上司の下についたことがあるかどうかによって、ほとんど影響を受けていません。女性上司と働いた経験がある女性のほうが、わずかに「昇進したい」という気持ちが高く出ていますが(63.0%)、この差は統計的には有意とは言えないわずかな差です。

ということは、「この職場で次のステージに進んでいきたい」と感じる女性を増やすうえでは、「女性上司×女性部下」という人事には、さほどの効果を期待できないということになります。

じつはこれ以外にも、今後の職業生活に対する見通しや目標・計画を持っているかどうかにも、「女性上司の経験」が影響を与えているのではないかという仮説を立てて、データの解析を行ったのですが、いずれも統計的に有意と言える差は見い出せませんでした。女性は、同性の上司の下で働いたからといって、キャリアに対する意識が高まるというわけでもないようです。

このような分析結果をとある女性に話したところ、「そうですよ。女同士だと、かえってめんどくさいこともありますし……」というコメントをいただきました。データ上では「めんどくさいこと」があるのかどうかまでは確認できませんでしたが、「女性上司×女性部下」の是非については、肯定的意見と同じくらい、懐疑的な意見もあるようです。

とくに多いのが「感情面」に関わる声です。女性上司については、「気持ちや気分の波がある」「同じ報告をしても、タイミングによって反応が違う」「いったん感情がこじれてしまうと、なかなか関係を修復できない」「女性ならではの『手の内』が見透かされてしまう」などなど、生々しい話を耳にしたことがある人もいるかもしれません。

次に見ていただきたいのが、「女性上司と働くことに『やりにくさ』を感じた」と回答した人を男女で比較した次のデータです。シンプルであるがゆえに、なかなか衝撃的ですので、心してご覧ください……。