女性管理職の部署では「出世したい女性」が育ちやすい?出所:高見具広(2018)「性別職務分離」の現在形―昇進意欲の男女差を手がかりに考える「非典型化する家族と女性のキャリア」第3期プロジェクト研究シリーズNo.9,p.79
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このとおり、男性の平均的な残業頻度が少なければ少ないほど、同じ企業で働く女性はより多く基幹的職務を経験しています。逆に、男性の残業頻度が高く、長時間労働が蔓延している企業では、女性が基幹的職務に割り当てられていない傾向が見て取れます。職場内に残業見直しの雰囲気があるかどうかは、このようなかたちでも女性の昇進意欲に影響し得るのです。

女性は部下の「キャリア意識」を育てる?

一方で「女性の昇進意欲」については、「同性の上司」をつけるのがいいのではないか、という意見をいう人がいます。たしかに、上司が同じ女性であるほうが、部下の心情や悩みを推し量り、配慮しやすいといったことはあるかもしれません。

また、「女性上司×女性部下」の組み合わせのほうが、ちょっとした会話やランチにも誘いやすいという側面もあるでしょう。コミュニケーションが活性化すれば、何かトラブルが起きたときにも、その芽を早い段階で摘み取りやすくなりますし、上司から学習する機会も増えます。

実際、女性上司の下でそうした経験をたくさん積んだ女性は、「女性上司の部下でよかった」という思いを持っているようです。そのため、「女性には女性上司をつけたほうがいい」と考える人は決して少なくありません。

これと関連するのが、前回に触れた「ロールモデル論」です。マネジャーとして活躍する女性上司の姿を間近で見ることで、「私も彼女のようになろう!」という気持ち(昇進意欲)が女性部下のなかにも生まれるのではないか、というわけです。

しかし、データを見る限り、女性の昇進意欲は、これまでの上司の性別とは関係がないようです。昇進意欲がある女性の比率を、「これまで女性上司の下で働いた経験があるかどうか」で比較しました。