46.0%の女性が女性上司に「やりにくさ」を感じており、男性(37.2%)と比べると8.8ポイントの開きがあります。半数以上の女性が、女性上司に不満があるわけではないという事実は忘れてはいけませんが、やはり「同性だからこその課題感」はあると言えそうです。
若手女性を「威嚇」してしまう女性上司
9割以上が女性社員の職場で働いていたSさんという女性は、20代のころには「結婚して子育てもしながら、バリバリと仕事をこなす女性」に憧れ、そうした先輩をロールモデルとして追いかけていた時期があったそうです。
しかし、いざ自ら出産を経験してみると、Sさんの認識はガラッと変わりました。憧れだった先輩女性が、じつはたくさんのことをあきらめながら、同時に、隙を見せないように無理をしているという現実に気づかされたからです。
ワーキングマザーに対する十分なフォローもないなかで、それでも周囲から後ろ指をさされないために、マネジャーとしての役割を全うしようと奮闘する―そのような先輩女性を見て、彼女は率直に「あんなふうにはなれないし、なりたくもないな……」と感じたと言います。
つまり、あまりにも活躍しすぎている女性上司の存在は、かえってスタッフ期の女性たちを萎縮させ、「私は彼女のようにはなれない/なりたくない」という気持ちを高める要因(負のロールモデル)にもなり得ます。
一般に、ロールモデルは「ポジティブな側面」から語られることがほとんどです。すなわち、「ロールモデルを提示すれば、『私もあんなふうになりたい!』という気持ちを高められるはずだ」というわけです。
しかし、学習には「正も負も」あり得ます。あまりにもレベルの高いロールモデルの存在は、「私はあんなふうにはなれない!」という気持ちを人々に抱かせ、むしろロールモデルから遠ざかることを選択させることもあり得ます。
職場で勇敢に闘う女性上司の姿を目の当たりにした女性部下のなかに、「私もいつかリーダー/マネジャーになったら、彼女のような苦労をしなければならないのだろうか?それはちょっとイヤだな……」と、尻込みする気持ちが生まれる可能性は十分に考えられます。ロールモデルにはそうした「負の学習」の側面があることも忘れてはなりません。