課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか? そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。
「文章で書かれた資料」はムダの塊
会議資料を文章で書いてはなりません。
「シンプル&ロジカル」が会議資料の鉄則。文章で書かれた資料は、その鉄則に反するものであり、結果として「会議の品質」を大きく損ねるのです。
私は、これまで数多くの企業の会議資料を拝見してきましたが、ひとつの法則を発見しました。会議資料を長々と文章で書いている企業の会議には非常に長い時間がかかる、すなわちきわめて非効率であるという法則です。
なかには、その資料を延々と読み上げる会議もありました。時間がかかるのはもとより、参加者はそれを聞いて要点を把握するだけでも一苦労。途中で集中力が切れて、“内職”を始める人が続出するのも当然でしょう。それでは、品質の高い会議が実現できるはずがありません。
しかも、文章は読まなければならないために、要点をつかむ(理解する)のに、時間と労力を要します。会議はディスカッションを通じて、それぞれの知識、経験を共有することで、よりよい意思決定を導くプロセスです。資料を理解するのにコストをかけるのは、まったく意味がないのです。
そもそも、長々と文章を書き連ねる会議資料をつくるのには膨大な時間がかかります。この“見えないコスト”が確実にチームの生産性を下げることになります。
上層部の会議にかける資料であればいざ知らず、チームの定例会議にかける資料にかける時間と労力はできるだけ省くべきです。その意味では、文章を書き連ねる提案書がNGであるだけではなく、デザイン的につくり込んだ資料も不要と言えます。