課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか?そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。

いますぐ「紙ベースの会議」をやめるべき理由

「紙ゼロ」で劇的に会議はスリムになる

 私は、紙ベースの会議よりも、デジタルベースの会議のほうが、圧倒的に効率的だと確信しています。
 かつては、私も紙ベースの会議に慣れ親しんでいましたから、ソフトバンク在籍中に「ペーパーゼロ宣言」がされたときには正直戸惑いました。しかし、実際に紙ベースからデジタルベースに変えてみると、会議にかけるコストが驚くほど軽減。その劇的な効果を体感したのです(ソフトバンクでは「ペーパーゼロ宣言」によって年間数億円の経費を削減しました)。

 具体的にご説明しましょう。
 下図は紙ベースとデジタルベースそれぞれの会議前々日から当日までのプロセスを比較したものです。

いますぐ「紙ベースの会議」をやめるべき理由

 まず指摘できるのは、紙ベースのほうが事務局の負担が大きい(工数が多い)ことです。メンバーから提出された資料から議題一覧を作成したうえで、その議題一覧と提案資料を人数分コピーして全員に配布しなければなりません。さらに、議事録もプリントアウトしたうえで、ファイルに綴じる手間もかかります。

 一方、デジタルベースであれば、議題一覧はサーバに置いたフォーマットに各自記入してもらえれば済みますし、提案資料もプリントアウトしたり、手渡しで配布したりする手間も不要。議事録もサーバに保存すれば終了です。

 これだけでも、非常に大きなコストカットとなります。まず、会議の準備に事務局がかける時間が大幅に削減されますから、その分、人件費の圧縮効果があります。さらに、コピー代や紙代もゼロ。議事録の保管スペースも不要ですから、その経費削減効果は非常に大きなものがあります。

 もちろん、デジタルに移行するためには、デバイス導入のイニシャルコストや通信環境のランニングコストなどの投資が必要ですが、定例会議は毎週行いますので、長期的には確実にデジタルへの移行コストを大きく上回る効果をもたらしてくれます。