アマゾンでいちばんの儲けをたたき出しているのがAWS

アマゾン以外の第三者がサイト上に商品を出品できる「マーケットプレイス」は、全世界で約200万社の企業が利用している。

マーケットプレイスは、出荷・配達まで請け負うサービスまでも提供している。多くの利用企業はアマゾンなしではもはやビジネスが成り立たないだろう。

それどころではない。アマゾンが運営しているAWS(アマゾンウェブサービス)がある。

これは、企業向けのクラウドサービスで、もともと自社のネット通販のために構築した巨大なサーバーシステムの空きを使って始めた、いわば副産物的な事業だったが、現在では世界の名だたる大手企業や米国の政府機関も利用し、信じられない額を稼ぎ出している。

アマゾンはマイクロソフトやグーグルをも凌駕する、世界最大のクラウドサービス会社でもあるのだ。

AWSが停止すると、多くの大企業の情報処理がストップする。下手をすると金融機関の決済がとまり、世界の経済全体がクラッシュする可能性がある。

知らない人もいるかもしれないが、個人も企業も、いや人類がアマゾンなしでは生活できない事態が密かに到来していたのだ。創業者のジェフ・ベゾス自身も、もうアマゾンをとめられない。

我々の生活がどっぷりとアマゾン漬けになっていることがおわかりになっただろうか。考えてみれば、恐ろしい状況である。個人も企業も社会もアマゾンへの依存を強めているいま、アマゾンが商品の値上げやサービスの停止をしたら、買い物難民になる人や倒産する企業も出てくるだろう。こうした状況を危惧し、アマゾンがあらゆる産業を飲み込むことに警鐘を鳴らす声も少なくない。

アマゾンがネット通販の雄であることには異論がないだろう。アメリカのネット通販市場ではアマゾンのシェアは4割を超え、その取扱い高は20兆円に達しようとしている。まさしくネット界の巨人だ。