アマゾンが秘密主義なのはなぜなのか

アマゾンは秘密主義だ。現地メディアの中には、アマゾンをスターリン時代のソ連のようだと揶揄する声すらある。

アップルのスティーブ・ジョブズやマイクロソフトのビル・ゲイツに比べて、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスの印象は薄い。

「テキサス州ヒューストン育ち。プリンストン大学を卒業し、金融業界を経て、インターネットビジネスの将来性に賭けて起業」というのが公開されている経歴だ。1964年1月12日生まれで、子どもが4人いる。

中肉中背のスキンヘッド。どの写真を見ても目だけは笑っていないという印象がある。保有資産は1120億ドル(2018年時点)。

引っ込み思案、人嫌いなどとも言われ、最近ではほとんどメディアには登場しない。家族との時間を大切にするという理由らしいのだが、本当のところは不明だ。

だが、以前はインタビューによく答えていた。決してメディアが嫌いというわけではないのだろう。YouTube上では独特の甲高い声で笑うベゾスを見ることができる。

この笑い方も、一部では気さくな経営者に見える演技だという声もあり、ベゾスの実像は見えにくい。ベゾス自身の情報はこのように公開されているのに、謎めき、だからこそ恐れられてもいる。

もちろん、企業経営者が人格すべてをさらけ出す必要もないし、有能な経営者の多くは外向きの人格を備えている。しかし、ベゾスを謎めかせているのはベゾスだけでなく、アマゾンという企業そのものが秘密主義というのが大きな理由だろう。

たとえば、稼ぎ頭であるさきほどのAWSの事業規模すら長らく非公開だった。そのため、ネット通販会社だと思われていたアマゾンが、じつはクラウドサービスで稼いでいることが知られるようになったのもここ数年の話だ。