プレゼンは誰でもうまくなれる!博報堂で1000回以上プレゼンして重要案件をつぎつぎ勝ち取ってきた達人が教える、あっけないほどシンプル&簡単なプレゼン・メソッド『博報堂で学んだ負けないプレゼン――3ステップで「刺さる」プレゼンができる!』の著者が、世界共通の伝え方の“型”、「ロジック3点セット」を解説します。

1時間のはずが15分に変更!?<br />プレゼン時間の急な短縮にも対応できる<br />ロジック3点セットとは?

「で、一言で言うと何なの?」
に対応できるロジック3点セット

「今日のプレゼンは15分でお願いします」
「え?1時間と聞いていたのですが」
「それが、社長に急な予定が入ってしまって…」
「……そうですか、わかりました」

 プレゼンでたまにあるのが、急に持ち時間が短くなってしまうことです。
 こうなると、正直、あせります。
 しかし、これから解説するロジック3点セットができていれば、対応可能です。

 ロジック3点セットとは、私が海外赴任していたときに気付いた、世界共通の「わかりやすく伝える基本」です。
 英語が苦手でも、なんとか伝えようと試行錯誤するうちに、結局、この“型”を使えば、言いたいことが伝わると気付いたのでした。

 それは、
「Now the problem is ~ 」(今、課題は~だ)
「So, the answer is ~ 」(だからやるべきことは~だ)
「Because ~ 」(なぜなら~だからだ)

 これを私は、「ロジック3点セット」と呼んでいます。
 シンプルですが、ビジネスでのやり取りは、このパターンで乗り切れることが多いのです。

 たとえば、私が海外赴任時に、クライアントのキーマンから、日本の本社が現地の事情をわかってくれないとの悩みを打ち明けられました。私は、なんとか彼を助けてあげようと思い、部下にこのように語りかけました。

「今、クライアントは、本社の理不尽な要求に答えなければならないことに悩んでいる。これが課題だ」
(Now the question is ~)

「だから、我々は、我々の立場で現地の状況を本社に教えてあげよう」
(The answer is ~)

「なぜなら、本社は、第3者の意見は大切にするからさ」
(Because ~)

 このように、ロジック3点セットで話したところ、部下はたちどころに意味を理解し、すぐさま現地の生の声を集めだしました。

 プレゼンでも、この“型”を利用します。
 前回、課題を絞り込むところまで解説しましたが、絞り込んだ課題について、ロジック3点セットを作成します。

 ここでも「リボンフレーム」を使いましょう。

(2)課題、(3)戦略、(4)理由の部分がロジック3点セットです。
 ここを埋めていきます。

(2)に書いた課題について、
「So, the answer is ~ 」(だからやるべきことは~だ)
「Because ~ 」(なぜなら~だからだ)
 にあたることを考えて書きこみます。
※「So, the answer is ~ 」(だからやるべきことは~だ)→(3)戦略に書き込む
※「Because ~ 」(なぜなら~だからだ)→(4)理由に書き込む

 このように、一度、ロジック3点セットを完成させておけば、「一言で言うと~」に対応できるようになります。

「御社の提案は簡単に言うと何ですか?」という質問をされても、ロジック3点セットを作ってあれば、「一言で言うと~です」と即答できるわけです。

 ロジック3点セットは、急にプレゼン時間が短縮されてしまった場合にも使えます。
 まず、ロジック3点セット(課題は~です。だからやるべきことは~です。なぜなら~だからです)を伝えて、あとは残り時間に合わせて、補足説明を加えていきます。

 私は、派手な演出や、スライドの過剰な作り込みよりも、提案の中身やロジック3点セットの方がプレゼンでは大切だと思っています。

 駆け足になってしまいましたが、ロジック3点セットについてさらに詳しくお知りになりたい方は、拙著『博報堂で学んだ負けないプレゼン 3ステップで「刺さる」プレゼンはできる!』を参照ください。

須藤 亮(すどう・りょう)
株式会社TOM 代表取締役社長
1980年早稲田大学法学部を卒業、同年博報堂に入社。以来、マーケティング職、ストラテジックプラニング職として35年間現場で、トヨタ自動車、花王、KFC、JT、味の素、全日空、マクドナルド、アステラス製薬など様々な業種の得意先を担当。途中、日本リーバ(現ユニリーバ・ジャパン)にアイスクリームのブランドマネージャーとし2年間出向。2001年からタイのバンコクを皮切りに海外赴任生活に入る。博報堂アジア・ブランディング&ソリューション事務所を立上げ、その後、香港、広州、北京と渡り歩き、博報堂での後半15年は、日本一のトヨタ自動車をクライアントとし、電通との一騎打ちに奔走。2013年に帰国。2015年に退社し、株式会社TOM(トップ・オブ・マインド)を設立。
現在、共同ピーアール株式会社顧問。様々な企業のコンサルティング、地方創生業務などに従事している。