SOMPOホールディングス(HD)は3月下旬に、“介護業界の大型買収”として話題となった有料老人ホーム大手の旧メッセージと旧ワタミの介護を含む、傘下の介護事業4社を合併すると発表。7月1日付で存続会社となるSOMPOケア(旧SOMPOケアメッセージ)が他3社を吸収合併して、新会社としてスタートした。遠藤 健社長に現状や課題などを聞く。(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 相馬留美)
SOMPO HD傘下の
介護事業4社を合併した狙い
――2018年7月1日付でSOMPOホールディングス傘下の4社が合併した。
先行して今年4月1日に地域本部制を導入した。地域本部制にしたというのは、東日本本部、首都圏本部、東京本部、西日本本部の4本部制を取り入れ、介護施設やサービスなどの業態にかかわらず、エリアで担当するという体制に変えたということだ。
社内には介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、小規模多機能型居宅介護、訪問介護、デイサービス、グループホームなど異なる業態があったが、エリア単位にするということは、つまり、社内の縦割りを解消するということ。地域ごとに部長とスーパーバイザー(SV)を立てる。SVは自分のエリアで1人5~7ヵ所の担当を持つ。地域単位で運営する仕組みは、介護業界で初めての試みだ。
――縦割りを解消する狙いは何か。
まずは消費者のニーズがあるため。例えば、練馬区に住んでいて自分の親の介護を考えている人から、当社の施設入居について相談があった時、その人の住環境や経済的な面を含めて「お客様ならデイサービスから経験するのはいかがですか」といった横断的な案内ができる。今までは業態別に人材も縦割りであったため、他の業態のことを知っている人はごくわずかだった。現場の仕事だけでなく、法制や規制、事務処理も業態ごとに全く違う。だからSVにはどんどん現場を回り、職員の話を聞いて、勉強をしてもらっている。“お客様ファースト”という観点だと、職員の動きが全く違ってくる。