水虫といえば、誰もがかかりうるおなじみの感染症で「足にできるもの」というイメージが強いが、最近は柔道などの格闘技を通じて海外から国を越えて入ってきたり、ペットを通じて頭にできる“新種”の水虫も登場している。(医療ジャーナリスト 木原洋美)
長男の頭に大きなフケ
抜け毛も伴う“水虫”だった
「あらやだ、あんたフケが浮いてるわよ。ちゃんとシャンプー使って頭洗ってるの」
都内に住む女性(40代)はある朝、長男(17歳)の短く刈り込んだ頭に、ポテトチップスのカスみたいに大きなフケを発見し、注意した。長男は柔道部。イマドキの高校生にしては珍しく、おしゃれには無頓着なところがある。めんどくさがってシャンプーを省略し、シャワーだけで済ませている可能性は十分あると思ったのだ。
「ちゃんと洗ってるよ。でもなんかさ、かゆいんだよね、このごろ。それにほら、ここんとこ、赤くなってない。やばいよね。髪の毛も抜けるしさ」
よく見ると、直径1~2センチぐらいの赤みがかった斑点が頭部の何ヵ所かにできており、顔にもあった。頭部にはほかに黒い小さな点々も見える。長男はわりと赤ら顔でひげも濃い。年相応にニキビも花盛りだったので、女性は見逃していた。
「ほんとだ、赤くなっている。かゆいの」
「うん、少し。それに毛が抜けるんだよ。俺、はげちゃうのかな」
小さな声で訴える表情が不安げだ。変声期を過ぎて野太くなった声、身長も180センチを超え、すっかり大きくなりはしたが、まだまだ子どもである。