すなわち倒壊寸前のぼろ家というわけだが、文面を読む限り主観的な解釈が可能であり、明確な基準があるわけではない。

 先の葛飾区のように、近隣住民から苦情が寄せられて調査が行われれば、行政の判断次第で、特定空き家に認定される可能性もあることになる。

 少なくとも、行政の“ブラックリスト”には載るわけで、その後住宅の劣化が進めば、いつ何時、特定空き家に認定されるか分かったものではない。

 次に、特定空き家に認定された場合だが、図の上段右のような段階を経て、最終的に行政代執行に進むことになる。

 ここで影響が大きいのが、勧告を受けた際に、住宅用地特例から除外されること。これが意味するところは、固定資産税の6分の1減税と都市計画税の3分の1減税がなくなることだ。

 図の下段を見てほしい。土地の価値を示す課税標準が2400万円の物件のシミュレーションだ。下段左のように、先述の減税がある場合は、固定資産税5万6000円と、都市計画税2万4000円の合計額である、8万円を納めるだけでよい。

 ところが、だ。特定空き家に認定され、勧告を受けると、下段右にあるように固定資産税は6倍の33万6000円、都市計画税は3倍の7万2000円となり、合計して40万8000円へと一気に5倍強に跳ね上がるのだ。

 さらに勧告を受けても対処せず、命令の段階まで進めば、最大50万円の罰金が科せられる上、代執行されれば、数百万円もの解体費用を請求されることになる。

 これが嫌ならば、自ら解体し、更地にするしかないのが、空き家特措法の恐ろしさというわけだ。