「ドン」の3つの条件が
なぜ五輪に必要なのか?

 さまざまな世界の「ドン」たちが、「ドン」と呼ばれる所以を整理していくと、だいたい以下の3つの条件を満たしていることに気づく。

<1>「逆らったらこの世界では生きていけない」という強面イメージ
<2>所属する組織・業界の発展に、疑いようのない実績がある
<3>配下や仲間が納得できるよう「利権」を分配・調整する親分肌

 <1>は、バーニングプロダクション代表取締役の周防郁雄氏が、何かにつけて「芸能界のドン」と恐れられていることからも、説明の必要がないだろう。

 <2>に関しては、「読売のドン」や「球界のドン」として君臨しているナベツネこと、渡邊恒雄氏を思い浮かべていただきたい。独裁者としてヒール的なイメージが強いが、若かりし頃はスクープ連発のスター記者で、経営者となってからも取材で培った人脈と押しの強さで、1000万部という、共産主義国家でしかあり得ないような世界一の発行部数を実現するなど、「ドン」の名に恥じぬ立派な実績があるのだ。

 <3>は「食肉業界のドン」といわれた浅田満氏が分かりやすい。自身が会長をつとめたハンナンだけではなく、同和系列の食肉業者の利権も守っていた。自分だけが潤えばいいという人間は、「ドン」になる前に潰される。配下や仲間にも甘い汁を吸わせてくれる親分的な要素がなければ、「ドン」として仰がれないのだ。

 さて、このような「ドン」の条件がわかると、なぜ「五輪」というものに「ドン」と呼ばれる人たちが引き寄せられるのかという理由が、なんとなく見えてくる。

 東京五輪は、海外メディアなどから「選手だけでなく観客も、極度の蒸し暑さによる熱射病で死亡する」という危険が指摘されているにもかかわらず、開催時期を動かすことはできない。

 既に莫大な放映権料が動いてしまっているからだ。この事実からも分かるように、オリンピックが「アマチュアスポーツの祭典」というのはあくまで建前で、現実は「利権の祭典」となっている。