「ドン」抜きの利権奪い合いは
殺し合いの危険性がある

 招致するだけでも巨額の裏金が動き、招致が成功したら巨大なハコものの建設や、スポンサーの協賛金など、莫大なカネが駆け巡る。

 このような巨大利権を「ヨーイ、ドン!」の自由競争で奪い合うとなると、醜い足の引っ張り合いが横行して、最悪、殺し合いが始まってしまう。また、争いに敗れた者がちゃぶ台返しで、ドロドロの舞台裏を世間にぶちまける、なんてリスクもなくはない。誰も得をしないのだ。

 では、巨大利権を「平和」に分かち合うためにはどうすればいいかといえば、圧倒的な強権を誇るリーダーをつくればいい。

 誰もが文句を言えないような実績があり、逆らった人間は永久追放するくらいの威圧感を兼ね備え、巨大利権をつつがなく仲間内に分配・調整するような親分肌の強いリーダーだ。

 ここまで言えばもうお分かりだろう。そう、それこそが「ドン」である。

 ホニャララのドンというと、なにやら悪の独裁者のようなイメージがあるかもしれないが、実はもともとは、巨大利権を巡る仲間内での無益なつぶし合いを避け、その世界の人間たちが平和的に利権を分配するために生み出されたシステムなのだ。

「ドン」は「利権調整者」であるのと同時に、ルールに従わない者に報復を与える「秩序の番人」の役割を担ってきた。だから、「ドン」と呼ばれる方たちの多くが山根氏のように強面で、「裏社会」とのつながりが囁かれている。「ドン」がナメられてはガバナンスが崩壊してしまう。「逆らったら消される」という恐怖が、裏切り者や内部告発者を出さない抑止力になってきたのである。

 だが、このような「ドン」はもはや絶滅危惧種になりつつある。