喫煙派と嫌煙派は共存できるか喫煙派と嫌煙派は共存できないのだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

喫煙派と嫌煙派、双方に穏健派と過激派がいる。嫌煙派が圧倒的に優勢の今、喫煙派たちは今、何を思うのだろう。喫煙派と嫌煙派、それぞれの過激派と穏健派の話を聞いた。(取材・文/フリーライター 武藤弘樹)

タバコ全盛の昭和から
空気清浄機の平成へ

 紫煙もうもうたる昭和の世が次の元号へと替わり、空気清浄機がそこかしこに設置されるようになった。しかし昭和時代に立ち込めていたたばこの煙がまだうっすら漂っている……これが平成である。

 昭和の頃はどこに行こうが必ず灰皿が用意されていて、電車であろうが病院であろうがお構いなしの、喫煙者にとっては天国のような時代であった。

 昔の映画を見ると邦画も洋画も画面がモクモクしていて、当時の様子を垣間見ることができる。たばこは大人の、特に男性には当たり前のたしなみの一つであり、たばこに関する一連のしぐさが女性の胸をときめかせるものとして受け入れられていたものであるが、それも今は昔の話。現在では一転して、男性の喫煙は女性を幻滅させる主な要因の一つとしてカウントされるまでに至っている。

 喫煙派と嫌煙派の対立は長きにわたって続いており、いつ頃から始まったのか定かではないほど常態化してしまって久しい。たばこの健康被害に明確なエビデンス(科学的根拠)がもたらされ、それが徐々に世間に広まると喫煙歓迎ムードは着実に様相を変え、嫌煙・禁煙の世の中へと移行していった。

 喫煙派と嫌煙派の双方に、穏健派と過激派がいる。対立当初から両者の意見は平行線に近いが、大勢は嫌煙派・非喫煙派の有利で推移していき、少数である喫煙派は長く続く劣勢の中でやや牙を抜かれた観もあって、「嫌煙の世の中、仕方なし」と諦観している喫煙者は実に多い。