デキるビジネスマンは、人とのコミュニケーションもスマート。相手とすぐに打ち解け、スムーズに本題に入ることができる。しかし、それはコミュニケーション能力の高さだけが関係しているのではない。ごく普通の人であっても、地道な努力と意識の持ち方でできることだという。大手メーカーでサラリーマンとして働く傍ら多数のビジネス書を出版する、金田博之氏が実践しているコミュニケーション術を聞いた。(清談社 島野美穂)
会話のスタートダッシュが
商談の成否を左右する
金田氏は、初対面の相手と会うときは、必ず“台本”を用意していくという。
「営業でも何でも、仕事で人と会うときは、話すことを事前に用意しておきます。言ってしまえば簡単な台本ですね。とはいえ、念入りに準備する必要はありません。先方のオフィスに到着したら、応接室に案内してもらう数分間で、気になるポイントを1つ見つければいいんです。たとえば、受付に置いてあるものとか、会社のインテリア、相手の服装や持ち物でも構いません。見つけたポイントをきっかけにして相手と共通の話題を出せば、そこから会話が発展し、すぐに打ち解けられます」
金田氏いわく、会話で大事なのはコミュニケーション能力よりも、むしろ観察力。初対面は真新しいものに目をつければ比較的会話を切り出すことは簡単だが、2度目以降は、何かしらの「変化」に気づき、それを話題にするべきだ。
「毎回、『御社のエントランスは立派ですね』なんて言っても仕方がありません。新しい話題の切り口をいかにして、アポイントの前に見つけるか。日頃から観察力を高めておくといいと思います。普段訪問する会社の変化点に気づくだけで、商談に結びつく思わぬ会話に発展することだってあります」
わずか数十秒の間で気になったポイントを話すだけなら、特別なテクニックを必要としない。このささいなポイントを押さえて、うまく会話のスタートダッシュを決められるかどうかが、会話、ひいては仕事の中身を左右するのだ。