魔の人格破壊ゲーム『スプラトゥーン』
この小見出しで誤解を与えてしまうのを避けたいのであらかじめ言及しておくが、任天堂の『スプラトゥーン』シリーズは素晴らしいゲームである。
筆者はWii Uの『スプラトゥーン』、Nintendo Switchの『スプラトゥーン2』の両方、ともにウデマエ(ゲーム内のプレイヤースキルを表わす数値)をカンストさせるほどのめり込んだ。同シリーズをきっかけに最高の友人たちと出会えた人、家族間のコミュニケーションが取れるようになった人、結婚したカップル、生きがいを見つけた人などを数多く知っている。べらぼうに面白いだけではなく、周囲の人間関係を豊かにする……それが『スプラトゥーン』なのである。
銃を撃ち合うタイプのゲームジャンルにFPS(一人称視点)とTPS(三人称視点)というのがあるが、どうやらこのFPS・TPSが見聞きした限り、もっとも人をイライラさせるジャンルであるらしい。
『スプラトゥーン』はTPSに属するゲームで、その例に漏れず、なぜかはわからないが異様にイライラする。ポップな見かけはそのイライラに対してなんの抑止力にもなっていないようである。
4人チームが二手に分かれて計8人で対戦を行うのだが、自分が活躍できても味方の動きが奮わずに負けてしまうことは珍しくない。むしろ自分が活躍したのに負けてしまった場合に感じる理不尽さが印象に強く残るためか、「また味方が弱いせいで負けた!」という試合ばかり重ねているような錯覚に陥る。同ゲーム関連のネット掲示板やSNSは「味方が弱い」という怨嗟の声で満ち満ちていて、果ては「勝率を調整するために強い自分に弱い味方があてがわれている」という、任天堂主導の陰謀論までまかり通っているのが現状だ。