この人はくる!!という直感

 しばらくすると、「伝説の志麻さ~ん♪」とテロップが出ると同時に、でっかい声でナレーションされた。
 3時間で15品つくるという。
 嘘だろう?とアンビリーバブルな気持ちでいると、目がテンになり、くいいるように前へ出た。

 すごいと思ったのは、技術もさることながら、その精神。人間性だった。

 この人はくる!!

 直感ながら、確信めいた確かな感覚があった。

 番組終了5分後、私は20年の編集経験の中で初の行動に出た。
 27インチiMacの前で、カタカタ軽快にキーボードを打ち始めたのだ。
 すると、ものの10分で、ものすごい量のメールに。

 志麻さんのインパクトはチョモランマ級だった。

 1秒でも早く送信したいと思い、即実行。校正よりスピードを重視した。

 まさか、すぐには返事はこないだろう、と思っていた矢先、奇跡的に返事がきた。
 志麻さんが「会ってくれる」という。
 嬉しかった! すぐにお会いすることができた。

「レシピ本の編集経験はないのですが、志麻さんの処女作をぜひとも一緒につくらせていただきたい」

 気持ちを込めて話した。
 すると、志麻さんが快諾。
 初めての書籍をつくろうということになった。
 その後、すぐに私は増上寺に立ち寄り、お経を聞きながら、装丁のスケッチをした。すると、ふつふつとイメージが膨らんできた。