東京2020で新設の6レガシー中
5施設で赤字運営が見込まれている

 例えば、1998年の長野五輪でもさまざまな施設が建設された。その中の一つが「ボブスレー・リュージュパーク」(通称・スパイラル)だ。

 施設維持費が年間2億2000万という割に、利用者は見学者含めて年間6300人で、利用者収入は、たった700万円(2015年度)。「長野冬季五輪で建設された施設の多くは赤字だが、スパイラルの赤字は突出」(日本経済新聞2016年11月26日)していたため、今年度からついに競技施設としては休止に追い込まれた。

 実はこうなることは、初めから分かっていた。1972年に開催された札幌五輪の時につくられたボブスレー施設も、赤字がかさんで2000年に閉鎖されているからだ。

 こういう過去があるにもかかわらず、同じ過ちを、これまでと比べものにならないほど巨額のカネをかけて繰り返そうとしているのが、「東京2020」である。都がつくる競技施設の6つのレガシーのうち、なんと5つについて、赤字運営が予想されているのだ。

 例えば、もともと既存の「東京辰巳国際水泳場」でやるはずだった水泳は、競技団体が、観客席が少ないと言い出して、567億をかけてアクアティクスセンターをつくることとなった。都の説明では、素晴らしいレガシーになるはずだが、試算では年間6億3800万の赤字を垂れ流す。

 宮城でやるとかやらないとか、すったもんだがあったボート、カヌーも結局、308億かけて「海の森水上競技場」がつくられる。こちらのレガシーは年間1億5800万の赤字だ。

 こういう話をすると、「こいつはアスリートファーストじゃない」「スポーツ振興のためには必要な出費だ」などと怒られるのだが、日本の出生率が5くらいあって、人口が右肩上がりで増えていくのなら、ジャンジャンこういう施設をつくればいいと思っている。

 ただ、残念ながら日本は急速に人口が減っていく。ということは、自治体の財政も急速に厳しくなっていくということだ。

「だからこそ、スポーツの力で頑張ろう」と盛り上がる人も多いかもしれないが、限りある財政をスポーツインフラだけに突っ込んでしまうと、「本当に社会に必要なインフラ」に対して金が回らなくなって、我々がこれまで想像していなかったような「悲劇」を引き起こす恐れがある。

 それこそが、筆者がブラジル国立博物館の火災を「対岸の火事」ではないと言った理由だ。