CRE部門は不動産の視点から
中期経営戦略への貢献を考え抜くべき

 前述の戦略例をCRE部門が十分に遂行するためには、経営層や事業部門など不動産サービスの“社内顧客”はもちろん、社外の不動産ベンダーや自治体などとのコミュニケーションを深めて、信頼関係を醸成することが必要だ。

「社内顧客のニーズと社外の専門機関の情報・サービスをつなぐ橋渡し機能を担いつつ、経営トップが打ち出す中期経営戦略を不動産の視点からしっかりとサポートすることこそが、CRE部門の最も重要な役割。こうした不動産マネジメントの立案・提案・実行こそが、CRE戦略のコア業務なのです。私はこれを経営層の意思決定・戦略遂行に資するという意味で、“マネジメント・レイヤーのCRE 戦略”と呼んでいます。前述のようなCRE戦略は、その実践例に他なりません」(百嶋上席研究員)

 マネジメント・レイヤーのCRE戦略には、教科書的に決まったものがあるわけではない。“中期経営戦略の遂行を不動産の視点からサポートする”という原理原則に沿って、自社に即した具体戦略を各社のCRE部門が考える必要がある。

「イノベーション創出のための成長戦略などへの貢献にも積極的にチャレンジすることが、CRE部門には求められます。中期経営戦略やそれに関わる経営のコミットメントの中には、一見するとCRE戦略と関係が薄いように思われるものもあるかもしれません。しかし、すぐに関係ないと判断せず、不動産の視点からどのような貢献ができるのか、徹底的に考え抜くことが重要です」(百嶋上席研究員)

 そのようにして出てきたアイデアを経営層に提案・実行ができれば、経営層からのCRE部門への理解・評価・信頼を勝ち得ることにつながり、CRE戦略の本格化への契機にもなるだろう。