契約を結んでおけば
一気に実行できる

 スマートコントラクトなら、「スケジュールが空いたらお願いします」と、Aさんと契約が結べるようになる。そうすると、デザイナーのBさんにも「Aさんに空きが出たら、Bさんにも仕事をお願いしたい」と依頼できるのです。

 AさんとBさんから契約を取り付けることができれば、投資家のCさんに「AさんとBさんが参加してくれるので、資金を提供してもらいたい」と相談できます。Cさんも「そのチームならいい仕事ができそうだ」と投資契約につなげることができるのです。

 このように、実際に仕事が始まっていない段階でも、数珠つなぎに契約を結んでいくことができます。口約束ではなく契約を実際に結ぶので、プロジェクトの信用性を高めることにもつながります。「あのCさんが入っているなら、間違いないだろう」と、取引先も広がっていくことでしょう。

 Aさんの仕事に空きが出たら、その瞬間、全ての契約がアクティベート(実行)されます。人材獲得から資金の調達、開発に至るまで、物事を一気に進めることができるのです。これは、多くの仕事に応用が利くでしょう。

 もし、投資ではなく融資契約であれば、金利の設定も柔軟にできます。年利ではなく、日利や分利、または秒利のような契約も結べるかもしれません。

 オプション取引のように、権利の譲渡も可能になるでしょう。Aさんにスケジュールの空きが出なかったとしても、Aさんが「私が信頼し、同じ質の仕事ができるDさんを紹介します」と、契約譲渡がなされれば、プロジェクトが動きます。または「Aさんが駄目な場合にはDさんに」と事前にリスクヘッジもできるのです。

 このように、スマートコントラクトの浸透によって、仕事がよりスピーディーに、そしてダイナミックに動くことでしょう。すると組織も案件ベースのプロジェクトチーム型へ変化していくのです。

 経営者の役割も、大きく変わることになりますし、スタートアップの組織すらなくなるのではないか、と考えています。(次回に続く)

構成/小島健志

Photo:iStock/gettyimages

*「孫家の教え」は隔週連載です