「ロイヤル・トリニティ・ホスピス」の店舗
「ロイヤル・トリニティ・ホスピス」が運営するチャリティショップ

 4年前に訪問したロンドンの「ノースホスピス」でも、「NHSからの収入は全体の23%に止まっています」と言われた。それでもNHSの事業なので、利用者には無料でサービスを提供している。「収入を増やして採算をとるために、イベントを工夫したり、遺産の寄付に期待しなければなりません」と厳しい表情で話していた。

 財源難からホスピスの活動に限界があるため、施設にホスピスと同様な緩和ケアを要請せざるを得なくなってきたようだ。「施設のホスピス化」である。

ケアホームとナーシングホームを
スコットランドでは区別しない動きも

「ヒースランド・コート・ケアホーム」では、「NHSからの要請は当然だと思います。世の中のニーズがその方向に向かっているのはよく分かっていました。時代の流れでしょう」と理解を示している。

ヒースランド・コート・ケアホームの半地下室
ヒースランド・コート・ケアホームの半地下室

 というのも、緩和ケアに既に取り組んでいるからだ。半地下のフロアの16室に看護師を24時間常駐させ、緩和ケアの場としている。どの部屋からも目の前の庭に茂る緑の植物が眺められる。「ガーデン・スイートルーム」と名付けた。大きなガラス扉を開ければ外の空気を味わえる。

「小さいけれど庭があることで、スピリチュアルケアが提供しやすい環境にしています。プライバシーがきちんと守られ、加えて自由な空間を満喫できます」。ローレインさんは誇らしげに話す。このフロアだけのダイニング・リビングルームも設けている。

 同施設の入居者の80%は病院からやって来る。ナーシングホームの居室は全体の6割ほど。そして、今年この8月までに亡くなった人は15人にのぼる。入居者の4人に1人と、かなり多い。終末期に近い人が新たな入居者として来ることが多かったためもあるという。