世界標準の教養として、特に欧米で重要視されているのが「ワイン」である。ビジネスや政治において、ワインは単なる飲み物以上の存在となっているのだ。そこで本連載では、『世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン』の著者であり、NYクリスティーズでアジア人初のワインスペシャリストとしても活躍した渡辺順子氏に、「教養としてのワイン」の知識を教えてもらう。
実は質の高い「ドイツワイン」
日本がバブルに沸く80年代、日本でワインといえばドイツワインでした。この頃、甘くて安価なドイツワインが大量に日本に輸入されていたのです。その後、日本はフランスワイン一辺倒となり、ドイツワインの影は薄れています。
一方でドイツワインは、ワイン業界で最も影響力のある評価「パーカーポイント」で98点以上を獲得した銘柄が166種類にのぼる(2018年8月現在)など、決してその質が劣るわけではありません。
ドイツは世界で最北のワイン生産地に属しますが、その冷涼な気候と土壌の性質を生かした辛口白ワインが生み出されているのです。冷涼な土地で栽培されるために果実の糖度が上がらず、アルコール度数が低いのがドイツワインの特徴です。主力品種はリースリングですが、その栽培面積は全世界の約60%を誇ります。