ドイツ特産の「アイスワイン」とは?

 ドイツでは「アイスワイン」も有名です。他の国では生産が難しい貴重なデザートワインの一種です。このアイスワインは、200年ほど前に偶然から生まれた産物です。ある年、突然の寒波に見舞われたドイツで、完熟したぶどうの房が樹についたまま凍ってしまいました。しかし、不作続きだった当時のワイン生産者にとっては凍ったぶどうも無駄にはできません。そこで凍ったぶどうを収穫し、ワインをつくってみたのです。

 すると驚くべきことに、果実味と芳醇な香りが凝縮された甘くて美味しいワインができたのです。これを機にドイツではアイスワインの文化が根付き、今日まで自国の名品としてつくられ続けています。
ちなみに、アイスワインをつくるには過酷な労働を要します。収穫は真冬の夜中で、すべて手摘みです。さらに収穫後、氷結したぶどうをすぐに搾らなければなりません。水分は凍っていても果糖は凍っていないので、果糖だけを素早く取り出し、ワインをつくるのです。このアイスワインの製法では、通常の10%の量しかワインがつくれないため、希少性も高くなります。

 中には収穫したぶどうを凍らせてつくる生産者もいますが、それは「アイスワイン」と名乗れません。「Eiswein(アイスワイン)」と名乗るには厳しい法律が存在し、国も生産者も本物のアイスワインを大事に守っているのです。