東京のオフィス街Photo:PIXTA

財閥系企業や電機メーカーなど、大手企業が数多くのグループ会社を抱えている。だが、2年前の税制改正によって、グループ戦略を見直さざるを得ない事態となっており、グループ傘下の企業との間でトラブルも起きている。(ジャーナリスト 滋賀利雅)

すごい数のグループ企業を
抱える電機メーカー

 9月19日、石油ワックスメーカー日本精蝋の、第三者割当増資による自己株式の処分がひっそりと公表された。時価総額約60億円企業によるこの動きは、「グループ経営」という巨大なダムを崩す“アリの一穴”となる可能性を秘めている。

 財閥系企業や電機メーカーなど、大手企業は数多くのグループ会社を抱えている。グループ企業同士が連携を図ることで、事業の相乗効果をもたらすのはもちろんのこと、親会社がグループ企業の資本を一定割合握って持ち分法適用会社や連結子会社とし、そこから利益を取り込んでいる。

 グループ企業の多さでトップはソニー。傘下に生命保険会社のソニー生命や、映画会社のソニー・ピクチャー エンタテインメントなど、実に1300社以上を抱えている。また、NTTやトヨタ自動車、ソフトバンクグループなども500社を超えるグループ会社を抱えている。

 こうしたグループ運営の在り方が、今、見直され始めている。そのきっかけの1つが、2015年度の税制改正における「受取配当の益金不算入制度」の改正だとの見方がある。