アンパンマンは誰のために
幼稚園や保育園に行くと、アンパンマンの絵を見かけることが多いですね。機関車トーマスもそうですが、小さなお子さんは丸い顔が大好きです。
「本当の正義の味方は」と始まるこちらの標語は、何を語りかけているのでしょう。
アンパンマンはお腹を空かせた人、貧しい人がいると、自分の頭をちぎって食べてもらいます。作者のやなせたかしさんは、従軍中に、飢えや空腹に苦しむ人を見て、自らもひもじい体験をしました。そのときの思いがアンパンマンというヒーローの姿に結実しています。これはキリスト教的な自己犠牲のあり方にも通じるものがありますね。
自分のものを分け与えることを仏教的に言うと、布施行(ふせぎょう)ということになります。「お布施」というと、法事のときに僧侶に手渡すおカネという意味が一般的なのですが、それだけではありません。
みなさんは「無財の七施(むざいのしちせ)」という言葉を聞いたことがありますか?
これはお金をかけずに誰にでもできる「お布施」です。
今日から始める「無財の七施」
次の標語は「大変な時こそ 仏様の心で」ということで七施をやさしい言葉で記してあります。
1. 優しいまなざし
2. 優しい笑顔
3. 優しいことば
4. 誰かのために
5. 思いやりをもって
6 ゆずり合って
7. 居場所をつくる
カッコの中に元の漢語を入れておきますが、「優しいまなざし」(慈眼施)、「優しい笑顔」(和顔悦色施)、「優しいことば」(言辞施)、「誰かのために」(捨身施)、「思いやりをもって」(心慮施)、「ゆずり合って」(床座施)、「居場所をつくる」(房舎施)。
どうでしょうか?
七施の基底にあるのは、思いやりの心を持って人と接するということです。まずはまなざしや笑顔、言葉から、気を配ってみませんか。
(解説/浄土真宗本願寺派僧侶 江田智昭)