日々膨大な仕事をこなす一流のクリエイターは、どのように仕事を進めているのでしょうか?

くまモン、相鉄、Oisixなど、多くのプロジェクトを手がけるクリエイティブディレクター・水野学氏。水野氏が大切にする仕事の基本は、意外にも「段取り」とのこと。

段取りを行なうことで、質の高い仕事ができるーー。その理由とは?

これからの仕事の基本である、「段取り」の秘密を全公開したのが『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』(ダイヤモンド社)。この連載では本書から一部を抜粋・再編集し特別公開します。<構成:須崎千春(WORDS)、編集部>

頭の中に「空白」ができると、仕事のスピードと質が上がる段取りを行なうことで、質の高い仕事ができるーー。その理由とは?

頭の中に「空白」をつくっておく

 クリエイティブディレクターというと、いろんな案件を抱えて「あれはどうしよう? これはどうしよう?」「このデザインやらなきゃ。ああ、あの件はクライアントともめている……」などと忙しそうにしているイメージがあるかもしれません。

 しかし、そうやってバタバタして、頭の中がパニックになっていては、いいアイデアは生まれません。そうではなく、つねに頭の中に「空白」をつくっておくことが大切なのです。

 ぼくは仕事には「段取り」が必要だとお話ししています(詳しくは第1回をご覧ください)。

 では「段取りをよくする」とは、どういうことでしょうか。
 いろんな定義があるでしょうが、いちばん大きいのは「空白をつくる」ことです。いかに空白をつくるかが、仕事の成否を決めます。

 ぼくが準備を万全にしたり、あらゆる段取りを整えたりするのは、すべてこの「空白」をつくるためなのです。

 頭の中が「真っ白」だからこそ、いくらでも考えられるのです。

 ノートが真っ白だから、いくらでも描くことができる。考えるときに、そのときだけパレットを開いて描くのです。描いたら、それをスタッフや取引先などに渡してしまいます。だから、つねにノートは真っ白です。

「空白をつくる」「真っ白な状態でいる」「何ももたない」。そうするためには、どうしたらいいでしょうか?