日々膨大な仕事をこなす一流のクリエイターは、どのように仕事を進めているのでしょうか?
くまモン、相鉄、Oisixなど、多くのプロジェクトを手がけるクリエイティブディレクター・水野学氏。水野氏が大切にする仕事の基本は、意外にも「段取り」とのこと。クリエイティブな仕事にこそ「段取り」が必要だといいます。そして、仕事で目指す「ゴール」をリアルに想像し、正しい目的地を決めることも大切だと。目的地を間違えてしまうと、プロジェクトが大失敗してしまうことも…。
これからの仕事の基本である、「段取り」の秘密を全公開したのが『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』(ダイヤモンド社)。この連載では本書から一部を抜粋・再編集し特別公開します。<構成:須崎千春(WORDS)、編集部>
仕事の「正しい目的地」を定める
目的地があいまいなまま歩みだすのは、いきなり登山をはじめることと同じです。
山に登っている途中に「あれ?いったいどの山に登るんだったっけ?」では困ります。
「気づいたら違う山に登っていました」では話になりません。
まずは「正しい目的地」を定めることがなによりも大切です。
仕事には「明確なゴール」がとても重要で、それを「きちんとイメージできているかどうか」が仕事の成否を分けるのです。
では、目的地を決めるためにはどうすればいいのでしょうか?
ぼくは、大切なのは「想像することだ」と答えています。それもただぼんやり想像するのではなく、ビジュアルで、リアルに想像することが大切です。
「くまモン」の例でお話ししましょう。
熊本県は、県のアドバイザーである小山薫堂さんに熊本のPRを相談しました。薫堂さんは、2011年に九州新幹線の鹿児島ルートが全線開通するのに合わせて「熊本のいいところを世の中に発信しよう」というキャンペーンを提案します。
それが、市民を巻き込んで、熊本のワクワクやドキドキを発信していく「くまもとサプライズ」というプロジェクトでした。「熊本のこんなところがすごいよ!」というネタを集め、おみやげや特産品に「くまもとサプライズ」のロゴのシールを貼って盛り上げていこう、というものでした。
ぼくへの依頼は、その「くまもとサプライズ」のロゴのデザインでした。