「ほんとうにそうかな?」と
つねに自分を疑う

 ぼくは、つねに自分を疑います。
「ほんとうにそうかな?」「もっといいやり方はないかな?」などと疑う。

 そこで有効なのがこの「ビジュアルでリアルに想像する」ということなのです。

 ほんとうはAの方向性がいいと思っていても「AじゃなくてBでお願いします」とクライアントに言われたとしましょう。ぼくはそこでどうするでしょうか? 決して、相手に言われたとおりにやるということはありません。

 まず、なぜ「BではなくAがいいのか」という明確な理由を見つけて論理的に説明します。

 この「自分が思っていることを、ぜんぶ伝える」というプロセスをめんどうくさがってはいけません。なぜそう思ったのかをきちんと考える。そのためには言語化する訓練を日頃から積んでおくといいでしょう。

 うちの会社では「なんとなくいいと思いました」と言うことを禁止しています。すべて言語化してもらう。「なんとなくカッコいい」ではなく「都会の洗練された感じがカッコよく、今回のプロジェクトの方向性にも合っていていい」など、なるべく説明をするようにしています。

 このようにていねいに説明するのは、ぼくがどうしても「A」を通したいと思っているからではありません。「通したい」というのは単なるエゴです。

 ぼくには「通したい案」というものはありません。「自分がいいと思うもの」というよりも「どっちが正解なのか」しか考えません。「自分」よりも「仕事」が上にあるからです。どっちのほうがこのプロジェクトにとってプラスなのか。そこを最優先します。