代官山や白金では
最大25%の価格下落も!

 確かに日本には、騒音が不動産価格に与える影響について明確な基準もないし、目ぼしいデータも存在しない。そこで海外事例を参照してみよう。米国のコンサルティング会社が1994年に連邦航空局に提出した報告書によると、ロサンゼルス国際空港北部の中価格帯地域において、騒音による不動産価格は、1dB上昇するごとに1.33%ずつ下落していた。

 このデータを基にシミュレーションをしてみよう。環境省が定める「環境基準」(生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準)の基準値A及びBに基づき、55dBを環境基準として試算すると、現状は環境基準程度の騒音状態である代官山や白金あたりの不動産価格は最大25%、通常60dB程度の大井町駅周辺では最大26%価格下落する可能性がある。

 1億円の高級マンションは7500万円、3億円の高級住宅は2億2500万円程度になる計算だ。タワーマンションの高層階で、サッシの防音等級がそれほど高くない場合には、下落率はさらに高くなるかもしれない。

 騒音や悪臭、振動などの発生源である、いわゆる「嫌悪施設」が周辺にあれば不動産価格は下落する。例えば閑静な住宅街の真ん中にいきなり工場が建てば、その影響は計り知れない。こうしたことを勘案して、都市計画法では用途地域を主に商業系、工業系、住宅系の3つに分類し、土地利用を制限している。

 しかし、今回設定された空路は都市計画には織り込まれておらず、新たな発生源が“空から降ってくる”形だ。

 国土交通省は2015年夏から、各地で説明会を開催するなどのアクションを起こしている。筆者はいくつかの説明会に参加したが、会場によっては、担当者に猛然と抗議する地域住民の姿も散見された。またこのことによって悪影響を被る港・目黒など複数区では反対運動を行う会が結成され、HPや街頭活動を通じて見直しを訴えている。