政治の意思でどこまで
役人主導の増税を修正できるか

 以上から、結論としてこの程度の対策で予定通り来年10月に消費税増税を行なうと、景気は悪化するし、来年7月の参院選でも与党が敗北して、安倍政権のレームダック化が始まってしまう可能性が大きいのではないでしょうか。そうなると、安倍首相の悲願である憲法改正もいよいよ不可能になります。

 それにもかかわらず、なぜ安倍首相が今月、つまり増税の1年前という早いタイミングで予定通りの消費税増税を明言したかというと、年末の来年度予算編成で増税に伴う歳入・歳出を織り込まなくてはいけないのと、軽減税率の導入への対応が官民の双方で遅れていることがあったのだと思います。

 しかし、これは役人の側の理屈に過ぎません。ついでに言えば、現状議論されている増税の悪影響緩和策も役人的なものばかりです。したがって今後の焦点は、ここまで役人主導で動いている予定通りの消費税増税と悪影響緩和策に、どこまで強い政治の意思を入れ込むことができるか、になるのではないでしょうか。

 具体的には、消費税再増税のタイミングをさらに遅らせるか、または予定通り増税するにしても、低所得者層向けにもっと徹底的かつ効果的なバラマキを行なうかです。その意思決定のデッドラインは、前者ならば消費税再増税の半年前となる来年4月、後者ならば予算編成が行われる今年12月です。

 常識的には、前者を選んで3度目の増税延期を行なったら、増税できない政権、決められない政権という烙印を押されかねないので、後者を選ぶ可能性が高いのではないかと個人的には思います。

 そうなると、これから2ヵ月の勝負です。その結果次第で来年の景気や株価がどう推移するかも、ある程度予想できるはずなので、注意深く見守っていきましょう。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)