必ずしも単純労働の容認ではない
「中度人材」の受け入れへ

 今回の新在留資格について、「単純労働を容認した」という表現は必ずしも妥当ではない。確かに大学卒を必要としていない点で「高度人材」の分類には含まれないとしても、介護や建設関係の業務は、誰でも一定の熟練なしにできる業務ではない。何よりも外国人について高度の日本語能力を前提としている以上、むしろ「中度人材」という新たな概念を設けるべきである。

 例えば、技能実習生は来日時には未熟練労働者であっても、3年間も働けば言葉も覚えて一定水準の技能は習得できるはずである。本来はその技能を客観的な基準で評価した上で、一定の在留資格を与えるべきという考え方もあった。

 また、フィリピン、インドネシア、ベトナム等の国との経済連携協定(EPA)では、介護・看護分野での国家試験に合格することを条件に、在留資格が得られる制度が設けられている。さらに、特定の地域に限定された国家戦略特区では、家事支援人材や外国人農業支援人材の受け入れ制度もあり、これは特区を設置する自治体の増加とともに、全国的に広がっていくことになる。これらの新しい制度では、フルタイム労働を前提に、日本人と同等額以上の報酬が義務付けられている。いずれも就労期間が3年に限定されているが、今回の制度と結びつければ、3年以内に十分な語学能力を身に付けることで在留期間の延長も可能となる。

 日本の大学を修了した留学生についても大きな壁がある。これは就職先の日本企業の職務が留学生の大学での専門分野と関連性がないとして就労ビザが出ない場合も少なくない。一般に、職種を限定しない正規社員として雇用される場合に、日本人なら理科系の学科出身者が金融機関に就職することはまれではないにもかかわらず、留学生にだけ出身学科と同じ分野の仕事しか認めないというのも大きな矛盾である。今回の日本語能力を基準とした在留資格は、こうした問題を解決することができる。

「外国人雇用法(仮称)」の制定なくして
外国人労働者の増加には対応できない

 特定の専門的技能を前提とした外国人の就労資格から、高度の日本語能力を基準とした資格への転換は、従来の外国人を一定の条件の下で受け入れるポジティブリストから、逆に受け入れてはいけないネガティブリストへの移行とも密接に関連する。