スティーブン・ムニューシン米財務長官は、今月末に予定されている米中首脳会談に先立ち、貿易を巡る緊張緩和に向け中国の劉鶴・副首相(経済担当)との協議を再開した。事情に詳しい関係者によると、ムニューシン氏と劉氏は9日に電話会談を行った。米国は中国に対し、貿易交渉の前に具体的な提案をするよう求めている。中国はこれに抵抗し、正式な提案を行う前に話し合いたい意向を示している。両国の当局者らによれば、双方は正式な提案を行うことで主導権を失うことを懸念している。当局者らは、9日の電話会談はこれらの問題の打開にはつながらなかったが、協議再開は両国が和解しようとしていることを示すと述べた。対中強硬派の米当局者の一部は、今月末にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)での米中首脳会談に先立ち、中国が提案をするとみている。だが両国が合意できるのはせいぜい米国が関税引き上げをやめて貿易戦争を一時停止することぐらいだろうと述べた。停戦後に詳細にわたる交渉が行われる可能性があるが、一定限度の停戦さえも難しいかもしれない。