Photo by Hiroyuki Oya
世界最薄、最軽量──。携帯電話の普及が一気に進んだ2000年代初頭、小さなボディーに最新技術がぎゅっと詰まった端末の魅力をアピールする定番は、この言葉だった。
ところが、スマートフォン時代に突入した現在は、大画面化がトレンド。すっかり聞かれなくなってしまった。そんな懐かしさすら感じさせるフレーズを実現した端末が、久しぶりに登場した。NTTドコモが今秋投入する携帯電話「カードケータイ」である。
名刺サイズで厚さは5.3ミリメートル。重さは47グラムと、卵より軽い。代わりに画面はモノクロでカメラ機能はなく、アプリの追加もできない。機能を絞って小ささを追求した、“尖った最新機種”の開発の陣頭指揮を執ったのが、プロダクト部の村上智彦である。
「ドコモの村上と申します。あっ、間違えました(笑)」
取材冒頭のあいさつの場で、村上が狙い澄ましたように笑顔で名刺入れから取り出したのは、もちろんカードケータイだ。
名刺サイズという端末の特徴を一発で伝える“鉄板ネタ”で、10月のドコモの新商品発表会でも吉澤和弘社長がこの演出を採用。報道陣を大いに沸かせた。