携帯電話の利用料を、政府主導で4割も引き下げるメリットは本当にあるか?菅官房長官は「携帯電話料金は4割下げられる余地がある」と発言した。そもそも日本の携帯利用料は本当に高いのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

携帯電話料金はまだ高い?
「4割引き下げ」は妥当か

 8月21日、安倍内閣の菅官房長官は講演の場で、「携帯電話料金は4割下げられる余地がある」と発言した。それはただの個人的な感想ではなく、どうやら政府は本気の様子である。

 間髪入れず、総務省は23日に携帯電話料金の引き下げ検討を総務省の諮問機関である情報通信審議会に諮ることにした。2019年末までにまとめられる報告書では「儲けすぎ」の携帯電話会社(携帯キャリア、以下同)にさらなる料金引き下げを要望することになりそうだ。

 しかし、今回の動きについて、私は個人的に気になったことがある。日本の携帯電話料金は官房長官が言うほど、海外と比べて高いと言えるだろうか。早速確認してみることにした。

 ニュースを確認すると菅官房長官の「今よりも4割程度下げる余地がある」という発言は、「イギリスと比べて日本の携帯料金が倍以上も高い。それも格安電話会社ではなく携帯3キャリアが高い」という認識に基づいているようだ。

 イギリスの携帯電話会社として若者に人気のあるO2の場合、スマホの1GBプランは月額13ポンド(日本円で約1850円)、スマホを比較的使うユーザー向けの8GBプランは17ポンド(約2410円)、ヘビーユーザー向けの15GBプランは20ポンド(約2840円)である。

 これは、日本の格安スマホ会社の料金と比較的近い。例えばLINEモバイルの場合、音声通話SIMの3GBのプランが月額1690円、5GBのプランが2200円、10GBが3220円なので、イギリスの大手携帯電話会社の利用料は、日本の格安スマホ並みに安いと言える。