「1000の質問」から見えてきたこと
2015年春、私はマッキンゼーを退職し、ウェルスナビを起業しました。あらためて自己紹介しておくと、私は大学を卒業してから一貫して、お金に関わる仕事をしてきました。財務省では金融や財政政策に関わり、マッキンゼーでは日米の金融機関をサポートしてきました。そして今、全自動の資産運用サービス「ウェルスナビ」を手がけています。
こうした資産運用を実践する仕組みとは別に、正しい資産運用について伝える本を書きたいと常々考えていました。ロンドンの書店で出合った一冊の本が私を変えたように、正しい資産運用を知る機会があれば、より豊かな将来を築ける人が増えると確信していたからです。ですから、この本ではウェルスナビにも少し触れてはいますが決して宣伝が目的ではなく、なぜ起業しようと思い立ったのか、また世界の資産運用のスタンダードとはどのようなものかをニュートラルにお伝えできるよう心がけています。
正しい資産運用を伝えるうえで、いちばんの財産となったのは、「1000の質問」です。
この2年間で約80回の資産運用セミナーを開き、王道とされる「長期・積立・分散」の資産運用の考え方や、実践の方法について解説してきました。約80回のセミナーを通じ、参加者の皆さんから、のべ1000以上の質問をいただきました。なぜ資産運用に尻込みしてしまうのか、どこでつまずいているのか、どんな勘違いがあるのか。資産運用について真剣に考えている、たくさんの人から教えていただきました。本には、「1000の質問」のエッセンスを詰め込んでいます。
書籍『元財務相官僚が5つの失敗をしてたどり着いたこれからの投資の思考法』で伝えたいこと
この本は特に、資産運用が初めてという人、資産運用をしているものの自信をもてない人にとって、役に立つ内容になっています。ポイントは3つあります。
まず、老後に向けた正しい資産運用がどのようなものかがわかります。ここでいう「正しい」とは、単に理論的に正しいだけでなく、海外の機関投資家や富裕層の間で長年実践されていて、世界水準として広く推奨されているということです。
私はマッキンゼー時代、資産規模10兆円の機関投資家をサポートしていました。金融のプロが行う世界水準の資産運用は、時間と世界を味方につけます。正しい資産運用を知れば、「投資は怖い」というイメージが覆るはずです。
次に、なぜ人間が資産運用に失敗するのかがわかります。資産運用をする誰もが「成功したい」と思うはずですが、一定の割合で失敗する人が存在します。失敗する主な原因は、ノーベル賞に二度輝いた行動経済学によってすでに明らかになっています。
たとえば、タイミングを見計らって投資をすると、かえって損をすることのほうが多いことや、その原因がわかっています。正しい資産運用を知るまで、ことごとく投資に失敗してきた私の経験談も赤裸々に綴りながら、人間の脳が資産運用に向いていない理由を解説しました。
最後に、お金と、さらには人生とこれまで以上にしっかり向き合うきっかけになればと考えています。資産運用の目的はただ単にお金を増やすことではありません。資産運用によってお金から自由になれば、本当に人生で実現したいことに取り組めるようになります。お金と真剣に向き合うことは、自分の人生と真剣に向き合うことでもあるのです。
この本が、ひとりでも多くの人の人生を、そして社会全体を豊かにする一助になれば、私にとってこれほどうれしいことはありません。
【刊行記念セミナーのご案内】
退職金や年金に頼れない!「働く世代」のための
長期・積立・分散を実践する「資産運用2.0」とは?
『元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法』刊行を記念して
ロボアドバイザー「ウェルスナビ」CEOの柴山和久さんが、
自社サービスの宣伝はさておき(!)、
世界のスタンダード「長期・積立・分散」の資産運用について語り尽くし、
みなさんの資産運用に関する疑問・不安にすべてお答えします!
・日時:2018年12月5日(水)19時30分~20時30分
・場所:ダイヤモンド社9階セミナールーム(渋谷区神宮前6-12-17)
・参加条件:『元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法』のご購入(事前購入も、現地購入も可)
・定員:60名予定
なぜ日本で世界のスタンダードな運用が根づいていないのか、
なぜ若い世代こそ資産運用をすべきなのか、
どのような資産運用が理想で、どうすれば実践できるのか……など
どんな小さな疑問・不安も解消するため、是非ご来場ください!
-なるべく損をしないで確実に資産を増やしたい人
-資産運用に興味はあっても、始めるタイミングがつかめない人
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