本書『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの?』は変革の渦中にあるマンガビジネスの見取り図を提示し、その変化の本質はなんなのかを見極める刺激的な一冊。マンガに興味がない人にとっても、示唆に富む読書体験になるだろう。(弘末春彦)

本書の要点

(1)マンガアプリにはさまざまなサービスがあるが、その機能は「他社制作の新作連載」「他社制作の旧作連載」「自社制作の新作連載」「コミュニティ」の大きく4つに分類できる。
(2)「LINEマンガ」などのストア/プラットフォーム系アプリが普及するにつれ、作品単品での勝負という傾向が強まり、「ジャンプ」や「マガジン」といった雑誌単位でのブランド販売が厳しくなっている。
(3)これまでは単行本部数が勝負の中心だった。しかしいまは1話単位での販売や広告収入、ファンビジネスなど、マンガビジネスの収益源は多様化している。

要約本文

◆マンガアプリのビジネスの現状
◇他社作品のプラットフォーム機能

「マンガアプリ」と一言でいっても、さまざまなものがある。ここでは日本のマンガビジネスの現状と課題を理解するために、マンガアプリの機能を以下の4つに分類したい。それは(1)「他社作品の新作連載プラットフォーム機能」、(2)「ストア機能および他社作品の旧作連載プラットフォーム機能」、(3)「自社新作連載機能」、(4)「コミュニティ機能」である。

(1)「他社作品の新作連載プラットフォーム機能」とは、さまざまな出版社が作った新作マンガを連載することである。「版元横断」での「新作連載」(育成)が主な機能だ。代表的なサービスとしては「pixivコミック」や「LINEマンガ」、「マンガボックス」が挙げられる。これらのサービス事業者は、アプリ初出で連載できる新作を求めて、既存版元と協業している。

(2)「ストア機能および他社作品の旧作連載プラットフォーム機能」とは、旧作(既刊)を中心に、電子コミックを販売・レンタルすることであり、「LINEマンガ」や「マンガBANG!」が有名だ。こうした電子コミックストアが躍進した結果、ジャンルにもよるが、各社のマンガ売上の3~7割程度を電子版が占めるようになった。