廉価型の戸建て住宅を強化し、市場でトップ3入りを目指すパナソニック。だが「えっ、パナソニックが今から飯田産業やオープンハウスと戦うの?」。不動産業界関係者はしきりに首をひねる。
住宅価格が高騰する中、“ディスカウンター”として、都心狭小住宅市場を席巻してきたのが前出の2社。飯田産業は地場工務店の大ネットワークを築き上げ、オープンハウスはオーナー経営者が築いた強烈な営業体制で顧客や地主の懐に食い込んで成長してきた。
一方、パナソニックが旧パナホームで手掛けてきたのは、軽量鉄骨の注文住宅で一定以上の建坪向けの中高価格帯のもの。飯田産業らが激しい競争を行う市場とは大きく異なる世界だ。いくら木造住宅建築の実行部隊を手に入れたとはいえ、全体で売上高約2兆円、重い固定費と重いフットワークの大企業のパナソニックが勝てるのかどうかは未知数だ。
そもそもエコソリューションズ(ES)社は、松下電工時代から受け継ぐ、国内と海外で圧倒的なシェアを持つ電材事業が稼ぎ頭となってきた。潤沢なキャッシュカウがある余裕がなせる“大冒険”なのか。結果はまだ見えないものの、パナソニックの突然の“レッドオーシャン”参入宣言はいろいろな意味で注目を集めそうだ。