本来、個人の高額納税者を調査するのは東京国税局であれば課税1部だが、明らかになっている点が事実であれば課税1部から査察部へ移送、もしくは特捜部の捜査を待って一気に査察部が強制調査に着手するかもしれない。いずれ経理ミスのたぐいとされる申告漏れ(無申告加算税、もしくは過少申告加算税)ではなく、所得隠し=脱税(重加算税、刑事罰としての懲役や罰金など)の対象になる可能性が高い。

 すべてが脱税と判断され刑事事件の対象になるとは限らないが、国内では史上最高額の脱税事件になる可能性がある。

 当然、法人としての日産も無傷では済むまい。巨大企業を担当する調査1部が税務調査を担当すると思われるが「会長職にあった人物による個人的な犯罪」では済まされない。不正経理・申告と認定されれば刑事事件にはならないにせよ、重加算税の対象にはなるだろう。

 ほかにも有報を訂正した後、証券取引等監視委員会が調査し、金融庁に課徴金の納付命令を勧告することになりそうだ。金商法では有報への虚偽記載は刑事罰として法人に対し7億円以下の罰金と規定し、行政処分としての課徴金も定めている。不起訴となれば罰金は免れるだろうが、課徴金の納付は避けられないだろう。

 一方、ゴーン容疑者の弁護人を元同特捜部長の大鶴基成弁護士が務めることが明らかになった。また、ケリー容疑者は逮捕後、関係者に「役員報酬は適切に記載していた」と説明していることも判明。ゴーン容疑者も「有報に虚偽の記載はしていない」などと容疑を否認しているもようだ。

 東京地検特捜部の捜査は始まったばかり。今後の捜査の行方が注目される。