ドナルド・トランプ米大統領の先週末のアルゼンチン訪問は、就任以来で最も実りの多い外遊の1つになった。中国との関税合戦をいったん休止し、新たな貿易協議を始めると発表したのだ。その後、米議会が北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定を承認する前にNAFTAを離脱する意向を表明し、自らの政権を台無しにすることも辞さない姿勢を見せた。NAFTAの件は別の社説で論じているが、少なくとも中国との休戦合意は経済にとっても米国の労働者にとっても朗報といえる。トランプ氏と習近平国家主席は、全面的な貿易戦争の瀬戸際から引き返し、新たな貿易・投資ルールで合意を結ぶための余地を残した。トランプ氏は2000億ドル相当の中国製品に対し、1月から関税を10%から25%に引き上げる予定だったが、それを延期した。もし発動されれば、中国の納入業者と取引する企業だけでなく、米国の消費者に巨額の負担を課すことになる。