
兵庫県政が前例のない混乱に陥っている。斎藤元彦知事のパワハラなどを告発する文書を巡り、知事の対応が第三者委員会から公益通報者保護法違反と認定されるなど、トップの責任問題に発展。同文書に関連して、告発者や県議会議員が自殺するなど前代未聞の事態になっている。同様の悲劇が他の都道府県で起きないと言い切れるだろうか。特集『公務員の危機』の#23では、公務員・日銀アンケートの結果に基づき作成した、兵庫県の“二の舞”になりそうな都道府県ランキングを初公開する。他県でも「明日はわが身」と考えた方がよさそうだ。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
アンケートに回答した都道府県職員の70%が
兵庫と同様の「問題がすでにある」か「起き得る」と指摘
兵庫県の斎藤元彦知事が県の第三者委員会から指弾されている問題行為は、(1)職員へのパワハラ10件、(2)元西播磨県民局長がパワハラなどを告発した文書への対応が公益通報者保護法違反とみられること、(3)同局長の公用パソコンに保存されていた私的情報の漏えいを幹部職員に指示した可能性が高いこと――などである。
だが、斎藤氏は違法性が指摘されていてもどこ吹く風だ。(2)については「(第三者委員会の指摘は)一つの見解だ」と言い逃れをし、(3)は、「指示をしたという認識はない」と事実関係を否定している。情報を漏えいした元総務部長や、それを黙認した元副知事が、知事からの指示があったことを認めているにもかかわらず、である。
一連の問題の原因として、自身の責任を認めようとしない斎藤氏のパーソナリティーがあることは間違いない。逆に言えば、斎藤氏のような強権的な知事が君臨していれば、他の都道府県で同様の混乱が起きてもおかしくないということになる。
ダイヤモンド編集部は、独自に実施した公務員・日銀アンケート(下図参照)で都道府県職員らに、「知事のパワハラなどが問題になった兵庫県と同様の問題が起き得るか」を聞いた。すると、「同様の問題が起き得る」との回答は50.4%、「同様のパワハラの問題がすでにある」は19.6%に上った。一方で、「同様の問題は起き得ない」は8.9%しかなかった。
ダイヤモンド編集部は、この質問への回答から、都道府県ごとに兵庫県の“二の舞”になるリスクをあぶり出すランキングを作成した。
次ページでは、兵庫県の“二の舞”危険度ランキングを大公開する。さらに、危険度が高い県の知事による生々しいパワハラの実態を明らかにするとともに、都道府県庁が抱える問題点を徹底分析する。