「2007年生まれ」の半数が107歳まで生きる時代が到来する

本田:竹中先生は、出口治明さん(立命館アジア太平洋大学学長)との共著、『人生100年時代のお金の不安がなくなる話』(SBクリエイティブ)の中で、「新しい産業を起こすためには、リカレント教育が極めて重要なテーマになってくる」と述べられていました。リカレント教育の重要性について、教えていただけますか?

竹中:リカレントには「反復」といった意味がありますが、ようするに、「社会人を対象とした生涯教育の」ことを意味します。
たとえば、ITの基礎知識がある人に、2年間、夜間の大学院に通ってもらいサイバーセキュリティの専門家になってもらう。その学費を政府がある程度補助する。そんなしくみができれば、第4次産業革命の基盤が強化されると思います。
日本には、日本のいいところがあります。製造業のように、技術を伝承しながら安定した経営体系をつくっていくことも、もちろん大切です。けれど、技術の伝承だけでは、業種転換ができません。ですから、今いる社会軸で、もう一度「職業訓練」をして学びなおし、新しいことができる能力を高めていくことが大切です。
『ライフ・シフト 100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)の著者、リンダ・グラットン教授は、「平均寿命は10年に2~3年ペースで伸び続け、2007年生まれの人はその半数が107歳まで生きる。1977年生まれでも、半数が95~97歳まで生きる」と予測しています。107歳まで生きるとすると、95歳くらいまでは働かなければいけません。だとすれば、95歳まで働き続けるためにも、学び直す必要があるわけです。

本田:私も社会人を対象とした教育やセミナーを主催していますが、みなさん、40歳くらいまでは熱心に勉強をするのですが、50歳以上になると、勉強をしなくなる印象があります。ですから、50歳以上の方が勉強をしたくなるような、そういう空気をつくっていく必要性を感じています。

竹中:まさに、そのとおりですね。

(第5回に続く)

「AかBかの選択肢の中で、Cを考える力」が必要となる