値下げ攻勢の裏で
廃炉費用に上振れリスク

 価格競争を仕掛けて販売電力量、売上高を伸ばすという戦略、これは関電の経営の首を絞めることになるかもしれない。原発は稼ぎを生む半面、バックエンド費用でその稼ぎを吸い取っていくからだ。

 バックエンド費用とは、いわば運転を終えた原発の“葬式費用”だ。すでに関電は美浜原発1、2号機、大飯1、2号機を廃炉にする方針を決めた。これらはいずれ特別損失を計上することになる。

 震災後のエネルギー基本計画で決まった原発依存度低減の方針に基づき、政府は電力各社に廃炉を促すため「廃炉会計制度」を13年に設けた。これは、本来ならば廃炉に伴って一括で計上する費用を10年間で分割償却できる制度だ。

 中電はかつて浜岡原発1、2号機の廃炉に伴い、09年度通期決算で1536億円の特別損失を計上した。それに対し、関電は廃炉会計のおかげで廃炉が与える財務へのインパクトを分散できる。

 それとは別に、これから取り掛かる廃炉作業の費用に関して懸念が指摘されている。

 図4の通り、関電は法令などに基づき原発の解体費用を見積もり、これに応じて引き当ててきた。ところが運転期間満了を前に廃炉を決めた美浜1、2号機、大飯1、2号機は合計で307億円の引当金不足になっている。

 さらに、である。電力業界関係者の間ではそもそも当初見積もった費用で廃炉作業が賄えない恐れがあるとささやかれている。

 廃炉作業は長期のプロジェクトで、国内の電力会社が完遂したことがない未知の領域だ。見込み通り20~30年で廃炉作業が終わるのかという不安もあり、「やってみなければ分からない」(電力会社関係者)。廃炉費用はさらに上振れする可能性があるということだ。

 20年度ごろには安全審査をクリアしている美浜3号機、高浜1、2号機を再稼働させる予定で、原発7基体制の“最強布陣”に向けて関電は意気揚々だ。だが、再稼働する原発においては、原発で発生する使用済み核燃料を保管する中間貯蔵施設の建設候補地が決まっていないという最大の経営課題も横たわり、さらに費用が増えるリスクを抱える。