むろん、過去に定住外国人施策推進の名の下に、対応策が検討され、実施されてきたが、これらは主に日系ブラジル人等を対象にしたものであるし、数がそこまで多くはないので、これまでやってきたと言えるかどうか。それ以前の問題として、これまでの施策の評価や事後検証は行ってきたのだろうか?

外国人旅行者と外国人材は
何の関係があるのか

 そもそも、「人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に属する技能を有する外国人の受入れを図るため」と法案提出の理由に記載しているとおり、“移民法”は人手不足(とされている状況)に対応するために「外国人材」(実質的な移民)の受け入れを促進するために立案されたはずなのに、本対応策の「基本的な考え方」は以下の文章で始まる。

「近年、我が国を訪れる外国人は増加の一途をたどっている。平成24年に839万人であった外国人旅行者数は、今年初めて3,000万人を超え~」

 一体、外国人旅行者と「外国人材」は何の関係があるのだろうか?

 これではまるで、外国人が旅行で日本にやってきて日本を気に入ってもらい、次は「外国人材」として日本に来てもらいたいとでも言いたいのだろうか。これでは方向性が曖昧なまま、冒頭からさまよい、迷走し始めてしまっているようなものだ。

 そして、その迷走はまだ続く。

「基本的な考え方」にはさらにこのようなことまで記載されている。

「総合的対応策は、外国人材を適正に受け入れ、共生社会の実現を図ることにより、日本人と外国人が安心して安全に暮らせる社会の実現に寄与するという目的を達成するため、外国人材の受入れ・共生に関して、目指すべき方向性を示すものである」

 要するに、日本人と外国人が安心して安全に暮らせる「共生社会」なるものを実現することがいつの間にか目的になってしまっているということであろう。

「共生のための」対応策なのだから当然ではないか、といった反論が聞こえてきそうだが、あくまでも目的は「外国人材」なるものの受け入れと在留を円滑化するためのものだったはず。「共生」は一義的にはその範囲での話であって、「日本人と外国人が~」という話ではないはずである。